年間第33主日A 23-11-19
箴言31・10-13,19-20,30-31 Ⅰテサロニケ5・1-6 マタイ25・14-30
ある時、主人は僕たちを呼んで言います。わたしは今までお前たちに口うるさく、指示、指摘してきた。今、お前たちにお金を預ける。お金を任せる。任せられたお金を自由に使って仕事をしなさい。このお金であなたのうちにある力で思う存分幸いを見出しなさい。一人に5タラントン、もう一人に2タラントン、もう一人には1タラントンお金を預けた。タラントンの金額は5タラントンで約4億5千万円、2タラントンは1億8千万円、1タラントンは9千万円です。
5タラントン預けられた人は、心決めた。大きな思いで自由に、思い切って働いた。そして、人々の共感を得た。2タラントン預けられた人も出て行き、仕事をした。2人とも、仕事をする前に、まず始めに心を決めたのです。そして、静かに自分を見つめた。人を見つめた。主人を見つめた。社会を見つめた。そして、神様を見つめたのです。しかし、1タラントン預かった人は、9千万円預かった人は出て行き、穴を掘り、主人の金を隠しておいた。その人はお金を自分の中にしまっておき、お金を使わない。外の人と出会わなかった。仕事をしなかった。
かなり日がたって、主人は彼らを呼んだ。一人一人に言います。あなたはどのような仕事をしましたか。どのようにお金を使いましたか。あなたの仕事を是非、聞かせてほしい。5タラントン預かった人が言います。思い切り働きました。人の心が見えてきました。社会の動きが見えてきました。何が幸いか見えるように思いました。そして、大切なところに思い切りお金を使いました。5タラントン分の収益を得ました。人々の心は喜びにあふれています。2タラントン預かった人も言います。自分の思い、自分の世界から出て行きました。人々と出会いました。人々と心を分かちあいました。人々の心を知りました。まことの愛は何かを知りました。精一杯、楽しく働きました。2タラント分の喜びを得ました。5タラント分の喜び、2タラント分の喜びはどんなものか、実はよく分かりません。神様が選ばれたその人たちが精一杯働いた、十分な喜びだと思います。神様は言う。よくやった。
1タラントン預かった人が進み出て言います。「ご主人様、あなたはいつも叱ってばかりいます。お前には目がないのか。お前には心がないのか。人の心が見えないのか。人を受け入れようとはしないのか。失敗した、失ったと思うな、そこからが新しい出発だ。ないと思っているところにも必ず得るものがある。そのようにおっしゃる。あなたは厳しい方です。決して損をしてはいけないと思いました。わたしに大きな金額を任されても怖いので、あなたのタラントンを地の中に隠しておきました。ご覧ください。これがあなたのお金です。」主人は言われます。「あなたは怠け者。悪い僕だ。わたしの心をそのように思っていたのなら、銀行に預けておくべきだった。あなたに預けたお金は何も生まない、死んでいたのだ。さあ、そのタラントンをこの男から取り上げて十タラントン持っている者に与えよ。誰でも持っている人は更に与えられ、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。」
神様はあのような大金を誰にでも与えられるのですか。神様の世界は大きい、そんな風に考えました。与えられている。わたしたちに与えられている大きな力、それはいのちではないでしょうか。あなたはいのちが与えられている。あなたはいのちをどのように使っている、どのように生きていますか。外に出て働いていますか。外に出るのが怖い。あなたは自分を苦しめないように、自分の中に閉じこもっているのではないですか。失敗して素直になりなさい。素直になって失敗しなさい。
人のために働きなさい。自分が豊かになるためではなく、隣人のために働くのです。
若いころ、わたしは一人で一年ぐらい外国を旅行しました。ベトナム戦争が終わったころ、日本はアジアの国ではないか、しかし、日本のわたしたちはアジアを知らない。アジアの中に生きていない。アジアを歩こう。そんな隠れた流行がありました。わたしが外国旅行をしたのはそんな大義名分があったわけではありません。 一人で歩くことが出来るか。言葉が話せなくても、外国を歩けるのか。家族から、仲間から、社会に、みんなから守られて生きている。一人で何も出来ないと思ったのです。一人で外国に行く。怖いから、怖さに打ち勝つために、ごまかされて、こん畜生と度々いう。ごまかされて当たり前だ、あいつごまかしたなと思える、ある時、自分を作れたのです。
どうしようもない自分を置いたのです。しかし、ただ歩いただけです。
その中でも、いつも言っているのですが、イスタンブールで持ち物をすべてなくしたことがありました。極端な言い方をすれば、いのちの危機にあったのです。食べ物もなく、10日間洞窟のようなところで過ごしました。その日々は、何も出来ない自分を見続けました。
お前の人生は何か。それを教えられたのです。 お金で解決できないことがある。そんな出来事は我々には起こることではない。その世界がある、その世界に入れば、その世界があるのです。
あなたは何に向かって生きていますか。いや、あなたは今、生きていますか。
神様はそれを問われているのだと思います。